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今、ここに生きる星-転生したら養女モブ!-


第一章 幽霊少女は英雄を救う


第十四話 ないとなう! とは(2)


 ないとなう! の本編の内容は、のゆりにもわかりやすかった。
 しかし、のゆり自身は原作のオンラインゲームである”アルティメットファンタジー”は、兄のプレイや動画を見ているだけなのでよくわかっていない。
 それでも、前準備のように、公式の販売している漫画などを購読していたため、大体理解することが出来た。

 アルティメットファンタジーの舞台となるのは”アストライア”という世界である。
 アストライアにはいくつもの国家が興亡し、独自の歴史と文化がある。その最大の特徴が、魔法と魔族だと言えるだろう。
 そういう意味ではよくある剣と魔法のRPGの世界観で、最初の試練は魔王との戦いだという話である。

 のゆりの知っている限りでは、物語に最初から登場する大陸は二つ。
 西側と呼ばれるベネディクタ・テラ大陸--通称テラ大陸。
 それと、東側と呼ばれるシャン・リーミン大陸。通称シャン大陸である。

 テラ大陸の北東から東側全体を国土とするのが神聖バハムート帝国。
 他にも、いくつかの国が、アルティメットファンタジーの物語の出発点となっている。

”アルティメットファンタジー”を原作とする同人、”ないとなう!-Nation Salvagion-”の主人公アスランは、この神聖バハムート帝国の出身の冒険者である。
 北方の王者と呼ばれる、ジグマリンゲン侯爵家の生まれで、貴族の出であることは、大分あとになってからわかる。
 アスランは、”ないとなう!”の舞台に、本当にただの冒険者として登場するのだ。

 場所は、帝都シュルナウからずっと西にある地方都市、エンブルクの街。
 魔大戦が勃発し、魔族が魔界から人間の世界に侵攻を開始した後の話だ。
 国土を守る騎士達は全て、魔族と戦う前線に出払ってしまい、小さな地方都市には警備兵が僅かに残るのみで、治安も悪く、女子供は悲しい思いをしている--というこれまたよくある設定。

 その地方都市エンブルクが突如、不意打ちで魔族に襲われる。シュルナウに向かう一本道の街道が、街の真ん中に通っているため、進軍に邪魔だったものと思われる。
 果敢に戦う警備兵はたちまち蹴散らされ、エンブルクの街の教会に女子供や老人達が逃げ込む。教会にも腕っ節の強い若者がいるが、とてもじゃないが快進撃を続ける魔族にはかなわない。玄関に結界を張って立てこもる教会の神父達も粘ったものの、魔族の暴力と蛮声に負けてついに籠絡……というところで、いきなり太陽を背負って教会の玄関先に飛び降りてくるのがアスランである。

 飛び降りてきたついでに、魔族の先鋒の顔面に蹴りを入れて蹴倒し、片っ端から周囲の魔族を叩き斬る。

 唖然とする魔族と、教会に逃げ込んだ人間達。
 アスランは、騎士の装備とスキルを整えている。それが何故なのかは、他の人間達にはわからない。

 魔族の中で、魔人の姿を持った者が、「生意気な若造め、邪魔立てするな!」というよくある挑発を叫びながら突進してくる。
 アスランはそれに対しても、余裕の顔で、立て続けの攻撃を剣先でかわし、自らの必殺技を放つ。

 スターライト・スラッシュ。
 星の輝きを纏う剣の一撃で、魔人を倒し、他の雑魚達を完膚なきまで叩いて追い払ってしまうのだ。

 びっくりした顔の神父が出てきて、アスランに名を問う。感謝を伝える。
「アスラン」
 下の名前ではなく、通り名だけを答える。
「近くの宿屋で寝ていたら、魔族の声がうるさくてな。ろくろく寝ていられないのでこっちに来ただけなんだが……」
「またまたご謙遜を」
 神父の方は、アスランの騎士としてまかり通れるレベルの装備品を見てそう言った。実は本当に、この時点でのアスランは、ぶらぶらとうろついているだけの冒険者で、寝たいときに寝て、喰いたいときに喰う生活をしているため、本当に、昼寝の邪魔で魔族を倒しただけなのだ。それこそ夜中に鳴く蚊がうるさいので叩き潰したのと同じ感覚である。
 しかし、このご時世に、警備兵もろくにそろえられない地方の教会では、目の前にきらびやかな騎士が一人で落っこちてきたので、それはもう笑顔のもみ手で迎え入れるのであった。

 最初のうちは、そのエンブルクの教会が、笑顔とちやほやの力技で、アスランをとどめ、教会の周りの危険な魔族を追い払って貰うターンが続く。そして次第に、アスランの謎が解けていく。何故、アスランが騎士の地位と装備--特に祖先伝来の北十字星ノーザンクロスなどの伝説の剣などを持ちながら、軍属していないのか、彼は何故ここまで強いのか、どんな修行をしてきたのかなどが、順繰りに暴かれていく。
 同時に、アスランに仲間が増える。無二の親友のリュウと出会い、一緒に冒険を繰り返すようになるのもこの頃からである。

 その一方で、エンブルクの教会は、地味な地方都市にありながら、歴史と伝統だけはしっかりしていた。エンブルク教会が、何故、頻繁に魔族に襲撃を受けるのかというと、ジェネシスの宝器と呼ばれる、神聖バハムート帝国初代皇帝ルシュディーにまつわる武器が預けられているのである。ジェネシスの宝器は、膨大な魔力を秘め、神聖バハムート帝国創世の秘密に関わるとされている。そのジェネシスの宝器を奪うために魔族は襲撃を続けるのだろう、という事情が明らかになる。
 ジェネシスの宝器について、謎を調べてみようと思い立った夜に限って、教会を襲撃した忍者がいた。
 それが、キノエ・シュヴァルツ。
 キノエは、アスランとリュウの鼻先からジェネシスの宝器をかすめ取る程度に腕が達者な忍者で、モンクである義弟のユキを足止めに使い、自分はさっさと逃げ出した。

 そのキノエに、宝器奪取の命令をしていたのが、帝国初の女性皇太子アルマである。キノエはアルマの私兵で、皇太子の秘密の命令に従って動いていただけなのである。
 だが、それを知らないアスランとリュウは、エンブルク教会からのたっての依頼で、ジェネシスの宝器を取り返すために、キノエユキを追撃する。
 そうしているうちに、ジェネシスの宝器を守る、帝国の血盟将軍家やら、現皇帝アフマド二世に対立する大貴族ビンデバルドとの政争やら、魔族が今になって人類を攻撃する理由やらが次々と畳みかけるように展開されていくのだった。

 その頃、帝都シュルナウの東の近海に、海底火山の活動で、小島がぽっかり浮かび上がる。
 その名を荒野エーデ島。
 帝都シュルナウは、地球で言えば太平洋に匹敵する、大海原カイ・ラーに面した海の都なのである。その目と鼻の先に、突如、島が現れた。そして、瞬く間に、魔族がその島を占拠してしまうのである。
 占拠したその島に、魔界と人間界を繋ぐワープ装置を設置。ガンガン魔の軍隊を呼び寄せ始めた。

 魔族達は、その占拠した荒野エーデ島から、空と海へ艦隊を出し、シュルナウに上陸しようとする。
 そこで体を張ったのが、何と皇后エンヘジャルガル。
 地獣人モフの姫君の血を引くエンヘジャルガルは、彼女だけが独自開発した魔法結界をシュルナウ全土に巡らす。魔族は蟻の子一匹通さない、清浄な結界なのだが、このバリアが通用するのは七日間だけ。

 その七日間の間に、皇帝アフマド二世から、荒野エーデ島を奪い、ワープ装置を乗っ取り、魔族の王の首を取ってこいと命じられたのが、アスラン達冒険者と皇家の姫達の混合パーティであった。

 具体的に言うと、アスラン・リュウ・キノエユキ・アルマ・イヴ・マリ。それにリュウの子龍である雪鈴シュエリンである。

 そして、”ないとなう!”で約五巻ほど、すったもんだの魔族決戦が描かれ、見事、アスランは魔王の首級をあげ、帝都シュルナウに凱旋。それが24巻のラストであった。

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あとがきなど
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